2014年5月号 通販110番 「2013年度 消費者相談件数とその概要」

13年度における、通販110番の消費者相談件数の集計がまとまりました。速報値として、相談内容の概要を報告します。
(文中、前年度は12年度、今年度は13年度を指す。なお本文中、媒体としての「インターネット」は、パソコン(PC)によるものと、スマホ、タブレット等の携帯端末(モバイル)によるものに分けて集計している。また、「通販に関する一般的な相談」は集計数に含まれているが、分析の対象としていない)
※図表はクリックすると拡大されます。

■相談件数
会員、非会員とも大幅に増加傾向

13年度に通販110番に寄せられた「通信販売に関する相談」は、過去最多の9,073件で、前年度に比べ、51.7%の大幅な増加となった。また、「通信販売以外に関する相談」は181件で、12.6%減少した。総件数は9,254件と49.5%の大幅な増加となった。(図表1参照)

「通信販売に関する相談」のうち、全国の消費生活センター等公的機関からの相談は9.7%を占め、6.9%減少し、880件だった。(図表2参照)

会員に関する相談数は1,494件で18.2%の増加、4年連続の減少から増加に転じた。相談数のうち、苦情は979件で18.8%の増加、問い合わせも515件で17.0%の増加となった。なお、後述のとおり、非会員に関する相談が急増したため、「通信販売に関する相談」に占める割合は相対的に減少し、4.6ポイント減少の16.5%だった。
会員で相談件数の多い上位20社の合計は979件だった。前年度の比較では280件増加した。主因は、一部企業において「納期が守られない」、テレビショッピングを行っている一部企業の「無料電話番号」に関する問い合わせが急増したことによる。
一方、非会員に関する相談は7,292件で、63.6%の大幅な増加となった。割合も大幅に増加し80.3%と、5.7ポイントの増加となった。そのうち、苦情は6,056件で81.0%増加という異常値となった。問い合わせは1,236件で、11.1%の増加だった。(図表3参照)

■広告媒体別相談件数
インターネットの相談が異常値、テレビはほぼ変わらず

1位 インターネット/PC (6,097件・対前年比 184.0%↑)
2位 テレビ (441件・対前年比 99.8%↓)
3位 インターネット/モバイル (281件・対前年比 132.5%↑)
4位 カタログ (255件・対前年比 106.3%↑)
5位 新聞 (125件・対前年比 100.8%↑)

「通信販売に関する相談」のうち、媒体の判明したものは7,589件で、主要媒体は下記のとおりとなった。
「インターネット」は、1位のPC及び3位のモバイルが、今年度も引き続き大幅に伸びている。
最大の原因は「詐欺サイト」による被害であり、約3,800件の相談が寄せられた。
PCとモバイルを合算した伸び率は80.9%であり、前年度の伸び率(20.1%)を大幅に上回る異常値だった。また、媒体の判明した相談件数における割合(以下割合)に関し、PCは80.3%、モバイルは3.7%を占める結果となった。モバイルによるものは、スマートフォンやタブレットの普及の影響があると推測され、これらの利用者の中には、敢えてモバイルを利用してのインターネット通販であるとまで申告しない相談者もいるため、実際のモバイル率は、さらに多いものと推測される。
なお、「インターネット」に関する相談のうち、会員に関するものはPCが294件で、56.4%の大幅な増加となった。モバイルは9件のみである。また、媒体の判明した相談件数のうち、会員の割合に関してはPCが30.4%で、8.9ポイント増加した。
一方、非会員はPCが5,751件で、86.5%増の異常値、モバイルは269件でこれも43.9%という大幅な増加となった。割合は、PCが88.6%と6.3ポイント増加、モバイルは4.1%で0.9ポイントの減少となった。両者とも、会員との差が大きい。
「テレビ」は前年度とほぼ変わりはなく、順位も変わりなく2位だった。割合は相対的に下がり、前年度の9.3%から、3.5ポイント減少の5.8%となった。
主要媒体のうち、前年度大幅に減少した「カタログ」は、15件増加したが、大きな影響はない。そのうち、会員に関するものも前年とほぼ同様、4件減少の160件で62.7%を占めた。(図表4参照)

 

■相談内容別件数(複数集計)
詐欺サイトへの苦情が急増、電話がつながらない、連絡先不明など

●苦情内容
1位 未着・延着 (2,945件・対前年比 299.3%↑)
2位 電話不通 (2,680件・対前年比 215.4%↑)
3位 返品・交換 (1,085件・対前年比92.5%↓)
4位 商品・色・サイズ違い (719件・対前年比 181.1%↑)
5位 契約・解約 (675件・対前年比 169.6%↑)

 1位の「(商品の)未着・延着」については、会員は147件で前年比は257. 9%、非会員は2,791件で同302. 4%という異常値を示した。なお、そのうち2009年度以来増加傾向にあった詐欺サイトに関連したものは2,402件で、86.1%を占めた。
2位の「電話不通(電話がつながらない)」は、会員は214件で98.1%増加した。これは一部企業の拡販期における混乱が原因である。非会員については2,460件で、これも前年比217.3%という異常値を示した。そのうち詐欺サイトに関連したものは1,935件で78.7%を占めた。
3位「返品・交換」については、前年に続き、減少傾向にある。会員は304件でほぼ前年並み、非会員は770件で10.7%の減少だった。
4位の「商品・色・サイズ違い」については、会員が16件とおよそ半減しているものの、非会員については701件で91.5%の増加であった。これについても詐欺サイトに関連した相談は512件、73.0%を占めた。
5位の「契約・解約」は、会員が108件で、前年比は220.4%だった。複数企業の拡販期における納期遅延等が主因である。非会員は559件で61.6%増加となった。そのうち、142件が詐欺サイト関連で、25.4%を占めた。
主として詐欺サイトの影響により、上位5位までの相談数8,104件のうち、非会員は7,281件、89.8%を占めるに至った。(図表5参照)

●問い合わせ内容
1位 企業の連絡先 (1,035件・対前年比 122.1%↑)
2位 商品取扱企業 (225件・対前年比 105.6%↑)
3位 信頼性・情報 (191件・対前年比 109.8%↑)
4位 返品・交換 (107件・対前年比 81.1%↓)
5位 契約・解約 (104件・対前年比 133.3%↑)

1位の「企業の連絡先(を知りたい)」は、会員348件で45.6%増加した。このうち、テレビが70件を占め、「注文、電話番号を失念」「商品を注文したいが、電話番号が不明」などが多かった。また、テレビショッピングを主に展開する特定企業において他媒体を含め80件を数えた。
非会員では668件にものぼり、そのうち、国内でネット販売を展開している大手外資系企業の電話番号を問うものだけで、203件を数えた。原因は、電話番号の表示がわかりにくいことにある。
2位の「商品取扱企業」については、相談者がうろ覚えの商品名や商品の特徴から、主としてインターネット検索で探すケースがほとんどである。しかし、会員の取扱い商品とみられたものは73件のみで、非会員の取扱い商品とみられたものが58件だった。
3位の「信頼性・情報」は会員27件、非会員160件だった。そのうち、詐欺サイトに関しては56件だった。
4位「返品・交換」は、前述「苦情」欄と同様、減少傾向にある。
5位「契約・解約」は、会員が10件、82件が非会員だった。そのうち、消費生活センター等、行政機関からの問い合わせは会員2件のみに対し、非会員は39件にものぼる。特に後者は、未成年の申し込みや、申込直後の取り消し依頼に対し、「返品特約」表示があいまいにも関わらず、一切対応しないなどのケースについて、通販110番の見解を求められるものが散見された。(図表6参照)

■商品別 苦情・問い合わせ件数
上位の商品は詐欺サイトが多数、健食では不審な電話に関する相談も

1位 バッグ・財布類 (1,047件・対前年比 209.8%↑)
非会員が1,013件と、約96.8%を占め、前年度の2倍以上、前々年度の比較では6.5倍以上となった。そのうち882件、87.1%が詐欺サイトでトラブルに遭ったと思われるものだった。内容は581件、65 .9%が商品の未着で、そのほとんどが電話番号の表示がない、またあっても電話が通じなかったというものだった。
また非会員のうち、届いたものの商品が異なる、また品質・不良に関わるとの苦情は合わせて16.4%だった。
会員については32件のみ。インターネット(PC)が13件、カタログが7 件、テレビが5 件だった。なお、苦情が1,008件、問い合わせはわずか39件だった。
2位 靴 (976件・対前年比 226.5%↑)
これも非会員が958件で98.2%を占め、前年度の約2.4倍となった。このうち、詐欺サイトに関連したものは824件で、86.0%を占めた。内容は1位のバッグ・財布類と、ほぼ同様である。会員は、わずか16件だった。
苦情が932件、問い合わせは44件だった。
3位 婦人衣料品 (362件・対前年比 100.3%↑)
非会員は289件で4.7%増加し、約80%を占める。返品または交換を求めたが対応を拒否されたものが90件に上る。中でも「サイズが合わないのに交換も返品もできない」との苦情が目立つ。また「明らかに不良品であるにもかかわらず、対応がなされない」「返品を認めるものの、送料や返品手数料を求められた」という相談もあった。なお、詐欺サイトに関わるトラブルは、上位2商品カテゴリーに比べ比較的少なく、74件だった。
会員は67件で15.2%の減少となった。「比較的高額な商品が価格程の価値がない」「返品不可との条件は知っているが、交換もできないのはなぜか」「異臭がするとして返品を受けてくれない」「不良品なのに対応してくれない」「返品期限を1日過ぎただけなのに対応してくれない」など、返品交換に関わる苦情・問い合わせが29件、40%以上を占めた。
4位 時計 (309件・対前年比 315.3%↑)
非会員は301件で、対前年比が334.4%という異常値になった。そのうち、詐欺サイトに関連するものは255件、84.7%を占めた。さらに、そのうち165件、64.7%が廉価な著名ブランド品を注文したが、商品が届かないというものだった。また、商品は届いたが明らかにコピー品であったという相談も目立った。
会員はわずか8件にとどまったが、廉価なファッション腕時計の修理体制が不十分であったために苦情となったケースが見られた。
5位 健康食品 (306件・対前年比 130.8%↑)
会員は91件で19.7%増だった。判明した媒体の中で多いものは、テレビとインターネット(PC)である。テレビは23件で、前年の36件から減少した。
インターネット(PC)は17件で、前年の6件から増加した。途中解約の際の違約金についてや、解約したはずなのに請求書が届いたなど、相変わらず定期購入制度に関連する相談が多かった。
非会員は199件、38.2%増加して65.0%を占め、判明した媒体136件のうち、インターネットはPCが48件、モバイルが6件だった。内容は、「前払いしたが商品が届かず、会社と連絡もとれない」「知らないうちに定期購入の申し込みをしたことになっていた」など、非会員による消費者の信頼を裏切る商法に関するものが散見された。
媒体が電話だったものは46件だった。その多くが、注文した事実がないにも関わらず「注文した商品の発送準備ができた」など消費者を惑わせ、商品を送りつけようとする商法に関する相談だった。同商法に関する相談は42件だった。
詐欺サイトに関連した相談は13件あった。
なお、商品購入や購入後の問い合わせを目的に、「販売会社の電話番号が知りたい」との相談が会員29件、非会員47件と多かった。(図表7参照)

■通販110番より
「詐欺サイト」に関する相談がピーク!

 詐欺サイト(前年度までは「海外通販(越境取引)」として集計)に関連すると思われる相談が3,829件あった。
同相談は2009年度に入り始め、同年度は32件だったが、2012年度には1,036件を数え、それがさらに約3.7倍に急増した。
商品は、主として著名ブランドのバッグ類、スポーツシューズを中心とした靴、腕時計などだが、今年度は、既存企業のホームページや販売サイトをコピーした偽サイトが多く登場し、取扱い商品も日常生活用品にまで広がったのが特徴である。その90%以上は、前払いをしたが商品が届かないというものだった。著名ブランドのコピー品を含む別商品が送られてきたケースは3%程度、通販110番からの助言によって未然に防止ができたのは5%程度にすぎない。
1件あたりの騙し取られた最大金額は32万円、最低金額は数百円だった。
ただ、昨秋から行政機関、警察庁、団体、報道機関、出版社等の協力を得て、消費者に周知を図った結果、2014年に入り、収束の方向にある。しかし、新しい手口をもって今後被害が出ることも予想され、予断を許さない。

消費者相談室「通販110番」室長 八代修一

 

 

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