最近、「スマートフォンのサイトで商品を購入後トラブルになった」と、あえて広告媒体を特定しての相談が入る場合があります。今回は、スマートフォン特有の相談事例を紹介します。
■相談事例
テーブルセットだと思って購入したのに…
スマートフォンで大手ショッピングモール内のショップから「テーブルセット（テーブルと椅子2脚）」を申し込んだ。他のショップではテーブル単体が約4万円で販売されていたが、このショップだけが、ほぼ同じ金額で椅子とのセット商品を販売していたため、非常にお買い得だと思い、急いで注文した。
商品が届き、開梱していない状態ではあるが、箱の大きさから考えてテーブルのみと判断し、会社にメールで「商品が不足している」と連絡をした。しかし、会社からは「注文いただいたのは、テーブルのみの商品です」との回答だった。会社からの回答に納得できず、「広告の画像も商品説明も全てセット商品のものだった。テーブルだけならば、返品をしたい」と再度メールで要望を伝えたところ、「画像等はセットになっていますが、この商品代金がテーブル単体の金額であることは、広告で説明しています。また、ご購入いただいた商品は返品対象外です」と返品を断られた。
改めてスマートフォンのサイトを確認したところ、商品名が「ローテーブル」と書かれていたことに気が付いた。しかし、会社から説明された価格に関する注意表記が見当たらなかったため、「パソコン（以下PC）版で説明を見る」をタップ*してPC版の広告を確認したところ、そこに単体の金額であるとの注意書きを見つけた。
急いで注文したことで、商品名の「ローテーブル」を見逃したため、自分にも落ち度があったことは認める。しかし、椅子がなければテーブルは必要がなく、1脚15,000円もするため、椅子を追加で購入することもできない。
自分は注文前に返品条件を確認しており、返品不可商品であることはわかっているが、スマートフォンのサイトに注意表記がなかったことを根拠に返品できないだろうか？
（非会員）
＊タップ：タッチパネルを軽く叩く動作のこと。画面の切り替えなどを行う、PCの操作で言うと「クリック」にあたる。
■処理内容
スマートフォンサイトにおける広告のわかりにくさも伝え、 費用負担を申し出て返品依頼を
当該社のPCとスマートフォンの両サイトを確認した。
PCサイトの広告では、画像と商品説明はセット商品のものではあるが、「ローテーブル」との商品名と、「こちらはローテーブル1台あたりの価格です」との注意表記があるため、わかりやすいとは言えないまでも、注文前にテーブル単体の商品であることは理解できると推察された。
しかし、スマートフォンのサイトでは、PC画面へのリンクはあるものの注意表記がないため、消費者が勘違いする可能性があると思われた。ただし、相談者も認めているように、このショップだけ価格が非常に安いということであれば、もう少し詳しくサイトを確認した方が良かったとも考えられる。
会社に再度、「スマートフォンでは注意表記がなかった」「セット商品の画像が使われておりわかりにくかった」等、具体的に説明し、未開封であることも伝えたうえで、送料等の費用負担を申し出て返品を依頼してはどうかと助言し、相談を終了した。
■通販110番より
スマートフォンサイトでは、会社はよりわかりやすい広告作りを
消費者は販売条件や商品情報を十分確認のうえ注文を
現在、事例の会社では、スマートフォンサイトにも「単体の金額である」旨の注意表記と、更に両サイトで「チェアーに関しましては別売りになります」の文言が追加され、商品名も「ローテーブル（チェアー別売り）」との表記に改善がなされています。
最近ではPCを持たず、スマートフォンで通販を利用する人も増加しています。スマートフォンは時間や場所の制限なく手軽に使用できる便利なツールである反面、PCよりも格段に画面が小さいため、画像や文字が見難く、別ページを確認するにも手間がかかるとの苦情も寄せられています。
スマートフォン用のサイトを作成し、画像や文字を大きく見やすくするなどの対応を行っている会社も多く存在するものの、今回の事例のようにPCで記載されている説明等がスマートフォンでは記載されていなかったことで、トラブルになったという相談が少なからず寄せられています。
会社側は、今回のショップのように消費者の意見に対し真摯に耳を傾け、よりわかりやすい広告作りをしていただきたいと思います。 一方、消費者側も、返品条件等を含めた販売条件は勿論のこと、商品情報を十分確認したうえで注文していただきたいと思います。
通販110番相談員 谷川 愛
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