2014年10号 通販110番 「会社側の説明不足なのに、返品を認めてもらえない!?」

「ネット広告の商品説明が足りず、思っていたものとは違う商品が届いたが、返品に応じてもらえない」という相談が入ることがあります。今回は、このようなケースでトラブルになった事例を紹介します。

 

■相談事例
CD付きだと思っていたが、付いていなかった!

ネット通販で、10巻シリーズのバイオリンの教則本(楽譜集)のうち、9巻目と10巻目を購入した。商品名は「バイオリン曲集CD付き」で、付録のCDが魅力で注文したが、届いた商品にCDは付いていなかった。「梱包し忘れではないか?」と会社に問いあわせたところ、全10巻のうち、1~8巻はCD付きだが、9巻と10巻にはCDが付いていないと説明を受けた。会社に「CDが付いていないとわかっていたら注文しなかった。未使用なので、返品したい」と申し出た。会社は、申し込みの最終画面にあたる「商品ページ」に説明がなかったことを認めたが、他のページには書いてあったと主張し、返品を受けてもらえなかった。会社の説明不足なのに、納得できない。(非会員)

 

■処理内容
「会社に商品ページにたどり着いた経緯を説明し、会社と再度話し合うよう」相談者に助言

相談室で、当該社のホームぺージ構成を確認した。トップページから商品販売ページに入り、商品分類の中から「教則本・楽譜」を選択、さらに「バイオリン楽譜」→「バイオリンの楽譜一覧」と進み商品名をクリックすると「商品説明ページ」を見ることができる。
注文は、「バイオリンの楽譜一覧」と「商品説明ページ」で行うことができる。それぞれのページにおいて、巻数をプルダウンから選び、カートに入れる仕組みとなっている。
当該商品は、「バイオリンの楽譜一覧」に商品名と販売価格とともに「CD付き(9・10巻を除く)」と表示されていた。しかし「商品説明ページ」には商品名が「バイオリン曲集CD付き」で教則本の画像が1枚掲載されていたが、「9巻と10巻にCDが付かない」との記載はなかった。相談者は、「バイオリンの楽譜一覧」の確認を省略してしまったようだ。なお、この会社の返品条件は、「商品到着から7日以内、かつ初期不良の場合のみ対応」であった。
相談者には、「商品説明をどのページにどのような内容を書くかの決まりはないが、商品説明ページだけを見れば、全ての巻にCDが付いていると思うだろう。未使用とはいえ、強硬に返品を主張することは難しいが、会社に商品ページにたどり着いた経緯を説明し、再度話し合うように」と助言したところ、理解を得られた。

■通販110番より
重要事項が認識できるよう、事業者は消費者にわかりやすい商品説明を

後日、相談者からの報告によると、会社は最後まで返品を認めなかったそうですが、「商品説明ページ」に「9巻と10巻にはCDが付いていない」旨の表示が追加されたそうです。
商品を実際に手に取って確認することができない通信販売では、掲載された商品情報が消費者にとって唯一商品選択のよりどころになります。商品の情報は「より詳しく、わかりやすく、正確に」が基本ですが、具体的にどのように表示するかは、会社に任されています。
事例のケースでは、必ず消費者が目を通すであろう「商品説明ページ」に肝心な説明が欠けていたため、不完全な商品情報により注文した消費者から「思っていた商品ではなかった」と、トラブルになりました。
この相談者のように、欲しい商品を商品名で検索し、「商品説明ページ」だけを見て注文する消費者もいます。
事業者は、注文する側の立場に立ってわかりやすい商品説明を行い、消費者から苦情が入った場合は真摯に耳を傾け、柔軟に対応していただきたいと思います。
一般的に、消費者はホームページに表示された会社の取引条件や商品内容を理解した上で注文したとみなされます。そのため、ホームページの一部だけを読んで注文すると、消費者も後でトラブルになることがあります。不明な点がある場合には、注文前に会社に問い合わせるようにしましょう。

通販110番相談員 渡部 恵子

 

 

 

 

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