2014年7・8月号 事業者相談 景品表示法相談編 「比較対照価格の表示について」

■相談内容①

過去に販売当社での販売実績はないが、百貨店などで販売している価格を参考価格として、トマトジュースや海鮮セットなどをカタログに掲載して販売するにあたり、メーカー参考価格といったようなものを表示できるか。

■回答①

全国展開の通販の場合、 市価を比較対照価格に用いるのは不可能!

二重価格表示を行う場合において、比較対照価格として用いることのできる価格は、「メーカー希望小売価格」、「自店旧価格」、「市価」とされています。
ご相談の参考価格は市価ということになり、通常、通信販売は全国で販売されるものですので、トマトジュースや海鮮セットの全国の市場価格を調査する必要があるということになってしまいます。しかし、そのような市場調査は不可能ですし、メーカー希望小売価格もないと思われますので、参考価格(市価)を比較対照価格とすることは難しいです。
一般的には、二重価格のガイドラインに沿って、「最近相当期間」自社での販売実績(セール前8週間のうちの過半)を作っていただいてから、二重価格表示をしていただくのがよろしいかと思います。

 

■相談内容②

化粧品の販売会社10社と広告代理店との連合企画による消費税8%増税後の化粧品の販売に当たり、10社の商品の広告を共同企画で掲載するチラシにおいて二重価格表示を行う際に、比較対照価格は平成26年3月までの消費税5%の内税表示を比較対照価格として、平成26年4月以降の販売価格は8%の内税表示と比較して二重価格表を行うことは可能か。また、10社のうち1社は外税表示で販売しているところ、その社だけ外税での二重価格表示が混ざってしまうが、どうすればよいか。

■回答②

消費税率の違いや外税価格の表示は明確に

比較対照価格は内税同士での表示にするか、外税同士での表示にするか、どちらかに統一すべきところ、平成26年3月の販売価格と4月の販売価格では消費税率が違うので、そのことを内税価格のところに3月までの販売価格については「消費税5%込み」と表示し、4月の価格には「消費税8%込み」と表示すれば誤認はない排除できると考えます。
また、共同チラシの中で1社だけ外税での価格表示がある場合は、消費者が誤認することのないよう、3月までの販売価格には「別途消費税5%」及び4月以降の販売価格には「別途消費税8%」というように、この社の商品だけは外税であり、別途消費税がかかることがわかるように表示すべきです。

 

■相談内容③

当社では販売当初から1年以上「キャンペーン特別価格」と表示して販売しているが、新商品の販売当初はともかく1年経っても「キャンペーン特別価格」という表示のままでいいのか悩んでいる。

■回答③

「キャンペーン特別価格」は期間をきちんと明示し、終了後は価格を戻すこと

販売当初は確かに「キャンペーン特別価格」と表示しても差し支えありませんが、きちんとキャンペーンの期間を明示し、キャンペーン終了後は販売価格を戻すべきです。1年経ってもずっとそのままの価格ということになると、「キャンペーン特別価格」でも何でもなく、「通常販売価格」となってしまうので有利誤認となるおそれがあります。
一般消費者から消費者庁等に「あの会社は年がら年中『キャンペーン特別価格』と表示して販売していて、特別価格でも何でもないのではないか」といった苦情があれば、有利誤認の疑いがあるとして調査の対象となることもあり得ます。
「キャンペーン特別価格」と表示して販売しても問題とならないのは、新商品販売からせいぜい半年位までというのが一般的だと思いますが、仮に半年間「キャンペーン特別価格」で販売した場合、キャンペーン終了後に元の販売価格に戻したとしても、価格差が大きい程、高い方の価格で購入する顧客は少なくなってしまうのではないでしょうか。意図的に行った場合はもちろん有利誤認となります。

調査役 地主園 彰治

景表法の相談は 03-5651-1139まで(平日10:00~12:00/13:00~17:00)

 

 

 

 

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