2015年7-8合併号 事業者相談 景品表示法相談編 「可能な二重価格表示」

■相談内容①

通常販売価格と言えるのは、セール前8週間のうち最近相当期間が4週間以上あることが必要であるところ、3月末まで32,000円で販売してきた商品を、4月11日からテレビで2週間程度「通常販売価格32,000円を29,800円」として販売を開始した。そのこと自体は問題なかったのだが、一部別のテレビで同時期にセールを行うつもりが少し遅れてしまった。4月末から同じ商品を二重価格表示をして29,800円で販売したいのだが、一旦29,800円で販売してしまっていることから、通常販売価格32,000円とは言えなくなってしまった。この場合、過去の実績として、「いつから3月末の販売価格32,000円のところを29,800円」と、32,000円での販売期間を明示して販売したいがどうか。

■回答①
販売期間を明示することで二重価格表示が可能になることも

通常販売価格32,000円を一旦29,800円に値下げして2週間程度販売したということですが、最初のセールから次のセールまでの間が2 週間以上開いてしまった場合は32,000円が通常販売価格とは言えなくなってしまうので「通常販売価格32,000円のところ29,800円」という二重価格表示はできません。しかし、今回のようなケースでは、「いつからいつまでの販売価格32,000円のところ29,800円」というように販売期間を明示すれば誤認はなくなりますので、二重価格表示は可能となります。但し、過去の販売実績のうち高い価格で販売していた頃の価格のみを比較対象価格として用いることはできません。

 

■相談内容②

当社のWeb上の商品をお買い上げの方に、次回以降使用できるクーポン券を提供したいのだが、何か法的な規制はあるか。

■回答②
次回の取引において、他社の店舗でしか使用できないクーポン券は景品扱いとなる

クーポン券も経済上の利益であり本来は景品類ですが、次回以降の取引において値引きを約束する証票は値引きとして運用することとされています。但し、抽選でクーポン券を提供したり自社の店舗で使用できるクーポン券ではなく、他社の店舗でしか使用できないクーポン券や商品券等を提供したりするような場合は景品扱いとなってしまいます。また、例えば、2,000円お買い上げで1万円のクーポン券を提供するなど、次回の買物での値引きを約束する証票というより商品そのものが貰えてしまうというように、正常な商慣習の範囲内とは言えないような経済上の利益の提供は禁止されています。
なお、クーポン券の提供は取引条件ですので、どのような条件で提供するのか有効期限や提供の方法等を明示していただければと思います。

 

■相談内容③

表示の違反で取調べを受けている事業者が、合併などにより会社名や代表者名が変更になった場合、措置命令の名宛人はどうなるのか。また、旧会社名は措置命令の中に出てこないのか。

■回答③
当該事業を引き継いだ会社の代表者宛に措置命令が出される

表示の主体者の会社名や代表者名が何らかの理由で変わったとしても、当該事業を引き継いだ会社の代表者宛に措置命令が出されます。旧会社名は措置命令の中に関連事実として、例えば、「A社はいついつどのような合併によりB社となった」というように、どのような理由で会社名と代表者が変わったのかを記載することになります。

 

調査役 地主園 彰治

景表法の相談は 03-5651-1139まで(平日10:00~12:00/13:00~17:00)

 

 

 

 

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