2015年7月-8月合併号 「ネット中心時代へ移行する通販」~全国通信販売利用実態調査から~

「第22回全国通信販売利用実態調査~2014年の通信販売の利用実態」が6月19日にJADMAより刊行された。今回は著しい変化がおこっている利用者側の通販の利用実態をダイジェストでレポートしてみたい。
※図表はクリックすると拡大されます。

 

■伸びる男性の利用率

この調査による基本的な2014年における各利用率をまずおさえておきたい。世帯利用率=82.5%、個人利用率=68.8%(女性=72.4%、男性=64.7%)となっており、ここ数年の利用率は安定的で変わらないが、今回の調査では男性の利用率が5ポイント以上、増加しているのが目立っている。年齢別に見てみると39歳以下と60歳以上の若い層とシニア層の両端の層が伸びており、男性のミドル世代(40~59歳)が下がっていることとは対照的でもある(図表1)。

 

 

■ネット中心へと移行する通販

2014年に利用した通信販売の媒体の利用率をみると、「PCによるインターネット」が58.2%でトップ、次いで「携帯電話、スマートフォン・タブレット端末等によるインターネット」(以下、携帯端末と略す)が33.6%で第2位とネットが独占している状況となった。とくに「携帯端末」は2012年の23.1%から2年間で10ポイント以上増加し、30%を超え著しい伸びを示している(図表2)。この背景には携帯端末、とくにスマートフォン契約数が著しく伸びている状況がある。参考資料のごとく2015年3月末時点での契約割合は54%で過半数を超えており、いわゆるPCから携帯端末へのシフトがおこっている。反面、カタログ以下テレビ、ダイレクトメール、新聞広告、折込チラシ、雑誌広告は軒並み低下傾向にあり、通信販売全体としてネットへのシフトが顕著で、完全に「通信販売=ネット中心時代」という見方ができる。
さらに男女年代別に媒体の利用率をみてみると「PCによるインターネット」は69歳以下のすべての世代でトップとなっており(女性・29歳以下は「携帯端末」がトップ)、インターネットが幅広い世代で利用されていることがわかる。さらに急激な伸びを示す「携帯端末」はすでにPCによるインターネットを逆転した女性・29歳以下の層を筆頭に男女とも39歳以下の層が牽引役となっている。一方、比較的若い層でのテレビ、新聞関係の広告媒体の利用率の低下は一層、顕著となっている状況である。「国内カタログ」も全体としては低下しているが、女性・40~59歳の層においては利用率が比較的高く「ネットも利用するがカタログでもじっくりと商品を選ぶ」といった利用もイメージできる(図表3)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ネット利用頻度が高いほど満足度も高まる

インターネット利用頻度と年間利用回数、利用会社数、年間総利用額の関係をみてみると、いずれの指標ともインターネット利用頻度が高いほど平均値が高く、逆に利用頻度が低い層は通信販売の利用状況の低さが目立っている。しかし1回あたりの平均利用金額はインターネット利用頻度の高い層のほうが低くなっており、インターネット利用頻度の高い層は低価格のものを頻繁に購入している結果、年間総利用額が高くなっていることがわかる。プラットフォーム系大手インターネット企業のいわゆる送料無料化は、低価格商品を気軽に注文でき利用頻度が上昇するということからこのような結果となっている(図表4)。 通信販売利用者の総合評価はインターネット利用頻度が高いほど「満足」と評価する比率が高い傾向となっている。インターネットの利用頻度が高い層では50.4%が「満足」としており、低い層とは20ポイント近い差がある(図表5)。また直近に利用した広告媒体別の満足度をみると、1位「携帯端末」(93.5%)、第2位「PCによるインターネット」(93.1%)とネット媒体が高い満足度を示している。さらにインターネットの利用頻度と今後の利用意向の関係をみるとインターネット利用頻度が高いほど「利用する予定がある」と答える割合が高い傾向が明確にみられる。今後ともインターネット利用頻度が高いほど通信販売利用率が高い傾向が続くと予想される(図表6)。 以上のごとく、インターネット時代への完全移行の本質は利用者の満足度の高さによるものであることが明らかである。だからといって、これまでに無くなったメディアがなかったように、プラットフォーム系大手ネット通販企業のみとなり、他の広告媒体による通信販売がなくなるわけではない。重要なことはインターネット時代へ移行しているからこそ各通販企業のドメイン(生存領域)の明確化と顧客との関係性をいかに構築することが重要であることはいうまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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