2014年7・8月号 事業者相談 薬事相談編 「健康食品の商品表示」

薬事法では、「医薬品の範囲に関する基準」が示されています。
1. 専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を配合又は含有するもの
2. 1に該当しないが
(1) 医薬品的な効能効果を標ぼうするもの
(2) アンプル形状など専ら医薬品的形状であるもの
(3) 用法用量が医薬品的であるもの
が医薬品とみなされます。
昭和46年6月1日薬発第476号 各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知
(無承認無許可医薬品の指導取締りについて)

■相談内容

当社の製品である「○○食品(内容量120錠入)」の商品表示を次のようにしたいが可能か。

舌の後ろ側でゆっくり溶かして摂取すると効果的です。
本製品を1日2錠服用後、体調が良くなりましたら徐々に減らし、1日1錠を続けてお飲みください。

■回答

NGです。「舌の後ろ側で……摂取すると効果的です」が、形状(舌下錠)と用法から医薬品的と判断されます。
アンプルや舌下錠等の一部の剤型は、通常食品としては流通しない形状を用いること等により、消費者に医薬品と誤認させることを目的としていると考えられ、「医薬品的な形状」と判断されます。しかし、医薬品に用いられているような錠剤、丸剤、カプセル等の形状をとっても、製品の品質管理の必要性が認められる場合等で、「食品」であることを明示している場合には、形状のみをもって「医薬品」とは判断されていません。
「本製品を1日2錠服用後、……1日1錠を続けてお飲みください。」が、摂取量の指定、症状に応じた量の変動であり、「医薬品的な用法用量」と判断されます。
医薬品は、病気の治療や予防という目的を達成し安全に使用するために、服用時期、間隔や服用量がはっきり決められています。一方、いわゆる健康食品はあくまで食品です。摂取時期や量、方法等を細かく定めている食品は、消費者に医薬品的な効能効果を期待させるため「医薬品」と判断されます。
服用時期・服用間隔・服用量等を定める表現は、医薬品的な用法用量に該当します。ただし、製品が「食品」であることを明示した上で、原材料となった食品との量的な相関性を示すなどして、食品としての「目安量」を示すことは医薬品的とはみなされません。
食品であってもたくさん食べ過ぎたり長く続けて食べたりすることにより、かえって健康に悪い影響を及ぼすものもあるため、積極的に食べ方の目安や注意を示すことが必要な場合もあります。また、栄養機能食品に関しては、摂取の時期、間隔、量などの方法を示すことについて、「食前」「食後」など特に医薬品的な誤認を与える表現でない限り、医薬品的用法容量には該当しないと考えられています。

<医薬品的な表現例>
オブラートに包んでお飲みください。⇒ 医薬品特有の服用方法

<医薬品的とならない表現例>
・栄養補給の目安として、1個から2個ずつ(製品に「食品」であることを明示して)
・レモンにはビタミンCが◯◯◯㎎含まれています。この製品一粒にはビタミンCが◯◯㎎含まれておりますので、1日◯粒ぐらいお召し上がりいただきますと1日分のビタミンを補給することができます。
・この製品は繊維を多く含んでいますので、食べ過ぎるとおなかが緩くなることがあります。多くても1日10個ぐらいまでにしてください。

大野薬事事務所 薬剤師 大野 孝義

P R O F I L E
1944年 北海道富良野生まれ。東京都庁OB。薬事法の広告監視指導業務担当係を2度担当、薬事監視員を37年間務め、平成17年退職。独立行政法人医薬品医療機器総合機構で申請・届出文書の受付照会業務を担当し平成22年嘱託退職。TSUHAN2010で「健康食品における薬事法上の留意点」の講師を担当。

 

 

 

 

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