Japan Direct Marketing Association

公益社団法人 日本通信販売協会 JADMA

通信販売業における電子商取引のガイドライン

このガイドラインは、インターネットを用いた通信販売(インターネット・ショッピング)において、健全な電子商取引の普及に寄与し、消費者の信頼を確保するために、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という)及びその他の関係法令に基づき、事業者が遵守すべき基本的方針を定めたものである。
1.電子商取引=電子ネットワークを利用した、コンピュータを中核とするシステムにより処理される商取引。そのようなシステムによる処理を伴う商取引は、書面等により処理されていても、これに含まれる。
2.事業者=日本通信販売協会会員をはじめ、広く一般に電子商取引を業として、広告、取引の申込み・承諾、代金決済等を行う法人。



1.表示の基準

電子商取引では、広告・宣伝・勧誘から契約の成立までに、様々な態様でマルチメディア技術が活用される可能性があり、またその技術・仕様についても未知のものが多い。従って、インターネット・ショッピングでは、情報の提供が不十分であったり、不正確であると、トラブルの発生を招く恐れがある。このため、他の媒体等で培われた表示の基準に基づきつつ、次の事項を、適切な箇所に、かつ明瞭に表示するものとする。


1-1.販売主体についての表示
事業者は、消費者がその事業者を明確に認識できるように、下記情報を提供すること
(1)代表者又は当該表示に責任を有する担当者の「氏名」
(2)社名・商号・屋号
(3)主たる営業所の住所
(4)確実に連絡が可能な電話番号、FAX番号及び電子メールアドレス等
(5)業法に関る資格(免許等)がある場合はその内容
1-2.申込みのために必要な販売・商品条件の表示
事業者は、消費者が商品等を購入するための判断に必要十分な情報を提供すること。
1-2-1. 販売条件について
-1.特定商取引法に定めのある表示事項
特に電子的な決済等を用いる場合は、事業者は、契約成立の流れについて、契約の申込・承諾の仕組みを十分説明すること。
(1)販売価格
(2)代金の支払い時期及び方法
(3)商品の引渡し時期(期間又は期限)
(4)申込みの有効期限があるときはその期限
(5)販売数量の制限その他特別の販売条件があるときはその内容
(6)申込み方法
-2.割賦販売法に定めのある表示事項
割賦販売の方法により販売をするときは、下記の割賦販売条件表示すること。
(1)現金販売価格
(2)割賦販売価格
(3)代金の支払の期間及び回数
(4)割賦販売の手数料の料率
-3.返品条件の表示
原則として返品を受けるものとし、受ける期間及び返品に要する費用の条件。
特注品その他商品の特性により返品を受けない場合はその旨。
-4.付帯費用
商品代金に含まれない送料、梱包料、組立費、手数料(送金手数料を除く)等、消費者が負担すべき金銭があるときはその内容及び金額。
-5.請求により印刷カタログ等を送る場合に有料であればその金額
-7.アフターサービスと保証の有無及びその内容
-8.問い合わせ窓口の明示商品の送付にあたっては、購入者からの問い合わせや苦情を受ける窓口への連絡方法(電話番号・住所・担当部署・受付時間)を明示すること
1-2-2.商品の内容説明について
-1.商品名及びその内容(型式・品質・素材・性能・形態・色彩・量目・大きさ・製造者名・原産国・取扱方法等)についての情報は可能な限り多く提供すること
-2.商品内容に関する表示が関係法令及び公正競争規約等において定められている場合はこれらの定めに従って提供すること
-3.商品への表示が関係法令及び公正競争規約等に定められている場合は、その表示事項に十分留意した表示を行うこと
1-2-3.商品自体への表示基準
-1.商品へは、家庭用品品質表示法その他の関係法令及び公正競争規約等において定められた表示がある場合には、それらの定めのとおり表示すること
-2.原産国につき誤認のおそれがある輸入品については原産国名(または原産地名)又、原産国につき誤認のおそれがある国産品については国産品である旨を表示すること
-3.取扱方法・保存方法について指示がある場合には、その内容の表示又はこれらを記載した取扱証明書の添付を行うこと。輸入品については、日本語による指示を添付すること
1-2-4.一般原則その他消費者にとって必要と思われる事項は、適宜表示すること
1-3.その他特定事項の表示について
広告等において次の各項に該当する表示を行う場合には、それぞれの以下の各項の定めるところによること。
-1.優位性の表示
自己の優位を強調するため事実に反した比較をしたり、又他を中傷する表示を行ってはならない。品質・性能等を他と比較する場合は客観的事実に基づく具体的数値又は根拠を付記すること。
-2.最大級等の表示
最大級・最上級を意味する表示は、客観的事実に基づく具体的数値又は根拠を付記しなければならない。また、永久を意味する表示や完全を意味する表示は消費者に誤認を与えることがあるので十分注意すること。
-3.二重価格の表示
二重価格を表示してはならない。ただし、明確な根拠に基づく市価・メーカー希望小売価格・自店旧価格・自社カード利用の場合の割引価格の別を明示した場合は、その限りではない。
-4.数値表示
品質・性能等を数値で表示する場合は、測定の方法又は根拠について客観的資料を付記すること。
-5.認定等の表示
公共的機関その他の団体の認定、賞等を受けた旨を表示する場合は、その内容、時期及び団体名を付記すること。
-6.中古品の表示
商品が中古品である場合はその旨表示すること。
-7.類似の広告
他の事業者の広告表現のオリジナリティを尊重し、その模倣を慎むこと。
-8.景品類の提供
懸賞、景品類の提供を行う場合は、消費者に誤認を与えるおそれのないものとすること。
1-4.申込みを受けるための画面構成
インターネット上で申込を受ける場合、特に下記の点について注意すること。
-1.消費者が、自己の契約合意内容について、注文等を送信する前に確認・訂正等のできる画面を設けること。
-2.消費者がパソコン等の操作を行うことにより、当核操作が申込みの意思表示となることを、消費者が容易に認識できるように表示すること。
-3.申込を受けた際は、電子メール等何らかの手段で受注確認メッセージを送信することが望ましい。
-4.事業者は消費者との契約の締結において、誤操作の防止(二重送信やデータの誤入力等)のために合理的な操作手順を工夫すること。
-5.情報の更新日
情報の更新日を明示することが望ましい。明示がない場合は、消費者の認識した時点を、最新の更新日と仮定する。

2.取扱商品の基準

2-1.基本的な基準

2-1-1.法令等の基準
取引商品は、あらゆる法令にふれず、公序良俗に反せず、又は、他人の権利を侵害しないものでなければならない。
2-1-2.安全性の基準
関係法令に定められた安全性を備えているのみならず、通常考えられる範囲内の誤使用によって危険の生じるものであってはならない。
2-1-3.表示の基準
法令に定められた適正表示がなされているのみならず、消費者の選択・取扱いに対して十分に配慮された表示がなされていなければならない。

3.取引方法に関する基準

3-1.免責規定の有効性
消費者に一方的に不利になるような免責規定は、原則的に無効とする

3-2.取引に関する電子データ等情報の取り扱い

-1.勧誘に際して提供した情報の保存
事業者は、自ら消費者に対して提供した情報を、一定期間保存すること。
-2.取引情報の保存
将来的なトラブルを回避するために事業者は消費者に対し、取引記録を保存することを誘導すること。また事業者は取引記録を一定期間保存すること。
-3.取引情報の提供義務
消費者から請求があるときは、当該記録に基づく取引に係わる内容を、消費者に速やかに提出すること。

3-3.書面交付義務等

-1.割賦販売書面の交付
割賦販売の契約を締結したときは、割賦法の定めによりその契約内容を示した書面を購入者に交付すること。
-2.前払式の販売
商品の引渡しの前に代金の全部又は一部を受領することとする場合には、特定商取引法の定めにより代金受領後遅滞なく申込の諾否を申込者に通知するか、又は遅滞なく商品を送付すること。
申込の諾否を電子メールで申込者に通知する場合は、消費者の同意を得た場合に限るものとする。

3-4.申込に基づかない送品
申込に基づかないで商品を送付し、相手方が購入を承諾しない場合には、すみやかに商品を引き取るか、又は特定商取引法の定めにより一定期間後は商品の返還請求をしないこと

3-5.商品発送以前のキャンセル
商品を発送する以前に申込者から申込のキャンセルがあった場合には、原則としてこれを受けること

3-6.破損・汚損・品違い
発送途上での破損・汚損又は広告表示と異なる商品を送付した場合には、申込者に費用を負担させることなく良品と交換するか、又は返品に応じること

3-7.配送の遅延
事業者は注文を受けた商品を、あらかじめ申込者に対して通知した期間に配送できないときは、すみやかに申込者に通知すること。又、これに起因するキャンセルは無条件で受けること

3-8.個人情報保護
インターネットを利用して顧客に関する情報を収集する事業者は、書面もしくはインターネットを利用して、顧客に取り扱いの同意を得なければならない。(詳細は日本通信販売協会「通信販売における個人情報保護ガイドライン」に準ずる。)

3-9.年少者、高齢者への配慮
年少者、高齢者その他取引に関する情報について十分な理解能力を持たない者に対しては、特別の注意をはらわなければならない

3-10.電子メールの送付
事業者は、消費者に電子メールを送付し商品やサービスの提供を行う場合、消費者が事業者に対し電子メールの受け取りを拒否したときは、ただちに送付を取りやめなければならない。また、事業者は消費者に電子メールを送付する場合、消費者が今後の受け取りの諾否を選択できる仕組みを提示するものとする


4.システムの保全義務

4-1.一般原則

4-1-1.事業者は、電子商取引に関わる通信をするときは、システム情報への不当なアクセス又は情報の消失、破壊、改ざん、漏えい等の危険に対して、充分な安全対策をとらなければならない。事業者が安全対策をとっているにも関わらず、予期せぬ障害が発した場合には速やかな復旧に努めると同時に、障害の状況に応じて消費者に対して適切な告知や対応をすること。
4-1-2. 事業者は、電子商取引に関わる技術面、組織面及び設備面において外部委託を行う場合、充分な安全性が確保できる委託先を選択しなければならない。委託先で障害が発生した場合でも、事業者は障害の状況に応じて消費者に対し適切な告知や対応をすること。

4-2.装置等の管理・保守
事業者は、事業者が使用する電子計算機、端末機器、周辺機器及び回線並びに当該ハードウェアに使用されるソフトウェアについて安定性・安全性を充分に確認しなければならない。また定期的な保守点検、改善等を実施し安定性・安全性の維持に努めること。

4-3.サーバ等自主管理の仮定
事業者は、自らサーバ等を保持しない場合でも、自ら運営していたのと同等な責任を負うこと。


5.その他

5-1.準拠法
事業者のサーバー等が海外にある場合でも、日本に居住する消費者との苦情処理に当たっては、日本国法に基づいて処理する。

5-2.監査の義務
事業者は、このガイドラインに定められた事項を理解し正しく運用されていることを、適宜、監査しなければならない。



公益社団法人 日本通信販売協会
平成11年1月19日制定
平成12年3月14日改訂
平成13年9月11日改訂




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