「消費者相談窓口」に寄せられたトラブルの事例をご紹介します。
トラブルに遭われたと思われた方は対応の参考に、またトラブルに遭わないための参考としてご覧ください。
- ネット通販、返品条件に納得できない!
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ホームページに表示されていた返品条件は、「7日以内に電話連絡が必要。但し、未開封・未使用に限る」となっており、「安心の返品制度」をうたっていました。届いた商品(美顔器)の外箱(段ボール)を開けたところ、内箱(個送用)ではなく、商品が直接ビニールに入っていました。そのビニールは開封していません。未開封であることから「返品したい」と会社に連絡したところ、「外箱を開けたことは開封になるので返品は受けられません」と言われました。それならば、最初から返品不可と書いておけば良いと思います。「安心の返品制度」とうたいながら、少しも安心ではありません。
■相談室からのアドバイス
外箱(外装)は“輸送包装”であり、これを開封することは、一般的に商品の価値を下げる“販売包装”(化粧箱やビニール包装)の開封には当たらないと考えます。但し具体的に「未開封(外箱を含む)に限る」などと表示がある場合は、その条件に従うこととなりますので、消費者は注意が必要です。相談者には「大手モールに出店しているショップなので、モール主催者に返品条件が曖昧であることを伝えて、見解を聞いてみたらいかがでしょうか?」と助言しました。同時に、相談室からも、当該社の対応を確認してみましたが、外装の梱包も“開封”と判断して処理しているとのことで、こちらの見解は聞き入れてはもらえませんでした。
- セット組商品の一部返品はできるの?できないの?
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テレビショッピングで購入した枕(2個セット)が、思いのほか首の部分が固かったので、会社に未開封分1個の返品を依頼したところ、「セット商品の場合、一部でも使用された商品の返品はできません。同梱文書に記載されています」と返品を断られました。テレビでは「セット組商品の一部は返品できない」と説明していなかったし、注文時にオペレータからの説明もありませんでした。結局、同梱文書によく目を通さなかった自分に落ち度があったということなのでしょうか。
■相談室からのアドバイス
会社に確認したところ、「『未使用に限り返品可能』と表示している」「当社としてはセット商品を一つの商品と考えているため、一部でも使用すれば商品を使用したことになる。このため、今回は返品が受けられない」との回答でした。相談室からは「セット商品であっても、未開封・未使用分の返品を受けている会社もある。お客様の誤解を招かないように、『未開封』『未使用』の定義及び『セット商品の一部返品不可』などの表示が必要」と助言したところ、広告が改善され、「返品・交換」のできない条件のひとつとして「セット販売品の一部使用」の表示が追加されました。 なお、注文時のオペレータの説明や商品の同梱文書での説明は、あくまでも補足であり、これをもってわかりやすく表示したことにはなりませんので、事業者は注意が必要です。 一方、消費者側でも「これまでも返品できたから今回も大丈夫だろう」「未使用なら返品できるだろう」と都合よく解釈してしまうことで、トラブルとなるケースもみられます。注文毎に広告の返品特約内容を確認したり、自らオペレータに尋ねるひと手間も必要です。
- 返品したら、無料のはずの送料が!
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ネットショップで買い物をしたのですが、「5,000円以上の注文で送料無料」という条件があったため、複数の商品を合計で5,840円分注文しました。しかし、イメージ違いのため、1,680円分の商品を返品することになりました。すると、会社から「合計金額が5,000円未満となったため、返金時にはお届け時の送料を差し引いて返金する」と言われました。
他社ではこういう場合、送料は引かれませんでした。どちらが一般的な対応といえるのか教えてください。
■相談室からのアドバイス
注文品の一部を返品した結果、送料無料の条件を満たさなくなった場合に、往路の送料負担をどのように処理するかは、会社によって異なり、統一した決まりはありません。 送料負担を求めない会社もありますが、あらためて求める会社もあります。会社の考え方によりますので、どちらも対応自体に問題はないと思われます。 消費者にとって送料が申し込み時の決め手になることもあります。 事例の相談者は、注文時に送料の有無や条件を確認していましたが、返品後の対応を不満に感じました。 事業者は、消費者の誤解を生まないよう、商品お届け時の送料についてはっきりと表示するとともに、返品時の金銭負担についてもわかりやすく表示する必要があります。
- 返品時の往復送料って何ですか?
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ネットショッピングで、ドレス2点を注文したのですが、サイズが合わなかったことから2点とも返品することにしました。
会社に2点とも返品が可能かどうか確認したところ、オペレータより、「返品をお受けしますが、返品手数料として500円いただきます」との案内がありました。
その後、返品手続について表示されたメールが届いたのですが、そこには「返品手数料500円」の他に、「往復送料」がかかることが書いてありました。「往復送料」とは「会社から商品を届けるときの送料と返品するときの送料の両方を指すとのことでした。ホームページを確認したところ、「返品手数料500円」の他に上記費用がかかることも表示されていました。しかし、オペレータは説明不足だったと思います。それに他社では、今まで返品する際に返品時の送料を負担することはあっても往復送料を請求されたことはありません。
■相談室からのアドバイス
当該社のホームページを確認したところ、お客様都合の返品の場合、返品手数料500円と往復送料がかかることが表示されていました。 相談者へは、「返品特約に条件が明確に表示されているため、了承した上で注文したことになる。また、オペレータの説明はあくまでも補足となるため、オペレータの説明が不足だったとしても、それを理由に負担を免れることは難しい」と回答しました。 従来はあまり見られなかったようですが、顧客都合の返品の際、往復の送料負担を求める会社が増えてきているようです。「今まで往復送料を支払ったことはない」という消費者からの声をよく聞きますが、このような条件を定める会社のほとんどは、金額等を含め広告の利用規約に表示しています。消費者は自身の通販利用経験のみに頼ることなく、利用規約は会社毎に異なることをあらためて認識し、必ず広告表示を確認することが必要です。
- キャンセル料に納得できない!
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インターネットで注文後、商品が届く前に注文を取消すためのメールを送りました。通販会社からは「注文確定後のキャンセルはできません」というメールが届きました。その後、商品が届いたのですが受取り拒否をしたところ、通販会社から「キャンセル料として、請求代金の30%をいただきます」という内容のメールが届きました!30%もキャンセル料を請求するのは問題だと思います!!とにかく商品を購入する気もないし、キャンセル料も払いたくありません!!!
■相談室からのアドバイス
当該社のホームページにある「ショッピングガイド」を確認したところ、「原則として注文確定後のキャンセルは受け付けません。ただし、やむを得ない事情の場合は受け付けますが、キャンセル料として請求代金の30%をいただきます」と明記されていました。この場合のキャンセルは特定商取引法上の「申し込みの撤回」と解釈されます。しかし、相談者はこの「ショッピングガイド」をよく読んでいませんでした。注文前に取引条件を確認しないまま、商品の受取り拒否したのは不用心でした。妥当なキャンセル料についてはケースバイケースで考えるほかはなく、相談室では判断できませんが、一般的にはある程度の負担を覚悟しなければなりません。 事業者ばかりでなく、消費者にとっても「契約責任」が発生することに留意してください。
- 使ってみなければ分からないのに、返品できない!?
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ラジオショッピングで電子辞書を購入しました。電池を入れて商品の作動確認をしたところ、すでに所有している辞書とほぼ同様の内容や機能であることがわかりました。商品は試しただけで、使用しているとはいえないのですから、返品を受けて欲しいと通販会社に連絡しましたが、「返品条件として『未開封・未使用であること』を受注時に説明していること」を理由に返品を受けてくれません。こういった商品は試してみないと分からないと思うのですが・・・。
■相談室からのアドバイス
このようなケースでは、ほとんどの通販会社が使用後とみなし、返品は難しいと思われます。また、商品の仕様を事前に確認しておけば、申し込む前に「すでに所有している商品と機能などが同等」と気付くでしょう。また、どうしても返品したいということであれば、電池代も含めた使用損料を通販会社に支払うという提案を行い、交渉することもできるのではないでしょうか。 なお、ラジオで広告を行う場合については、その性質上、多くの事項を表示することが極めて困難であることから、例外的に、電話での問い合わせや申し込み時に、担当者が説明することで足りるとされています。
- 現金ではなくクーポンで返金することに納得できない
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ネットショップで購入した洋服を確認すると、商品画像ではわからない質感の違いがありました。予め「お客様都合での返品可能」であることは確認していたので、返品しようと思いました。しかし、利用規約の『返品方法の詳細』を確認すると、返金が現金ではなくこのサイトのみで使用できるクーポンとなっていました。しかもクーポンの使用期限は6か月です。「返金」というからには、現金で行われると考えるのが普通だと思います。また異なる方法での返金であるのなら、商品ページにもわかりやすく説明するべきだと思います。
■相談室からのアドバイス
返金方法が、消費者が予想していた方法とは異なるとの理由から、トラブルとなることがあります。銀行振り込みや、クレジットカード払いの場合はクレジットカード会社を経由して銀行口座に返金という方法が一般的ですが、事例のように自社サイトのみで使用できるクーポンやポイント、ギフト券で返金する事業者があります。それも「利用規約」等に予め明記されていれば、その内容を了承して注文していることになるため、「現金で返金して欲しい」との要望がとおるとは限りません。 なお、今回のケースのように、お客様都合の返品の場合は、「クーポンでも仕方ない」とあきらめがつくかもしれませんが、不良品の返品の場合は、いくら表示があったとしても消費者の納得を得るのは難しいと思われます。 クーポン等による返金は、事業者にとっては次の購買につながりますが、使用方法や使用期限等の制約があると、「もうこれ以上このショップで買い物をするつもりがないのに」と考えている消費者には、不満を残すことにもなりかねません。消費者が条件表示を確認することは当然ですが、事業者側にも配慮が必要です。
- 個人情報の取り扱いに問題はないのか?
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ネット通販で注文した商品の配送予定に関してショップに問い合わせたところ、すぐに回答が得られなかったので、注文時に伝えた携帯電話番号に加えて、自宅の電話番号も伝えました。しばらくした後に、ショップからではなく配送会社(郵便局)から自宅に連絡がきました。回答を聞いた後に、「なぜこちらの電話番号を知っているのか」と尋ねると、「ショップから聞きました」と言われました。自宅の電話番号を別会社に教える許可を出していないのに、勝手に電話番号を教えてもよいものでしょうか。
■相談室からのアドバイス
このショップの「個人情報保護方針」を確認したところ、利用目的の項目に、「ご注文内容や配送方法などを連絡したり確認するために、お客様氏名、住所、Emailアドレスなどの連絡先情報、ご注文いただいた商品の種類や数量、ご請求金額などの情報を利用します」との表示がありました。相談者に上記内容を説明したうえで、「配送会社はショップが配送業務を委託している会社であり、その業務を遂行するために個人情報を利用したと考えられます。事前にショップから案内があればよかったが、ショップの対応は利用目的の範囲内であると考えられます」と回答したところ、理解が得られました。 個人情報に関する相談は相談室にも時々寄せられますが、明らかに事業者側の個人情報の取り扱い自体に問題があるというよりも、事例のように事業者の説明不足から苦情となるケースが多いようです。 事業者が個人情報取扱事業者の自覚を持ち、事前に配送会社から連絡がいくと伝えていればトラブルとなることはありませんでした。また消費者は、事業者が公表している「個人情報保護方針」「プライバシーポリシー」などに目を通し、自身の個人情報がどのように利用されるのかなどを把握しておくことが必要です。
- 高齢者でも使えると言ったのに使えない商品だった
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テレビショッピングで、高齢の母のために、「ウォーキングマシーン(自走式)」を注文しました。注文時に「高齢者向けですか?簡単に使えますか?」とオペレータに質問すると、「高齢者でも使えます」との回答でした。また、返品条件については、「内容によってはできない場合もあります」と言われたので、使用後であっても返品可能であると解釈しました。しかし、実際に母が使用したところ、筋力不足で動かすことができず、健康な自分でも、力を入れないと動かない商品であることがわかりました。
ついては返品を申し出たのですが、「テレビでの返品特約の表示に加え、同梱文書にも記載している様に、組立後や使用後の返品はできません」と返品を拒否されました。「注文時のオペレータの説明とは異なり、使えなかった。高齢者は使えないと、ちゃんと説明すべきだった」と主張したのですが、返品を受けてもらうことはできませんでした。
■相談室からのアドバイス
相談室としても、オペレータによる曖昧な返品特約の説明に疑問を抱いたため、当該社へ事情を確認したところ、「オペレータは、顧客から返品可否を訊かれた場合、具体的な質問が無い限り『内容によってはできない場合もあります』とのみ回答することにしているとのこと。今回は詳しい『返品条件』の説明を求められなかったことから、一般的な説明になってしまい、返品特約の詳細条件が理解されないまま販売することになってしまったようだ」との回答を得ました。 ついては、相談室からは、受注時、広告を見逃したと思われる顧客や返品条件の再確認をする顧客に対しては、より詳細に返品特約の説明をするよう要請を行いました。 今後通信販売は、高齢者やその家族にとっても、利便性の高い買い物手段としてさらに定着していくことが考えられます。今回のケースのように、会社は、使用条件や返品可否について尋ねられた際など、実際に商品を使用する高齢者の立場に立ち、「どれくらいの力で踏込む必要があるのか」など使用感について説明すると共に、返品特約についても広告表示と同様に、具体的に説明する必要があります。注文受付時に、「明らかに理解が得られていない」と感じた場合には、顧客が理解したと感じられるまで、丁寧に対応することも必要です。さらに、高齢者が体力面に不安を抱えていることにも考慮し、気になる部分や知りたい部分に配慮した説明をすることも必要です。会社側には消費者の状況に合わせたそうした細やかな対応が求められていると考えます。 一方消費者側も、商品注文後は契約責任があることを踏まえ、注文前に、取引条件に加え使用方法などについても入念に確認し、納得のうえ申し込みをする姿勢が求められます。